ジャパニーズウイスキー探求日記

ジャパニーズウイスキーにいつしか魅せられて、どんどん新しいウイスキーを飲みたくなり、知りたくなってしまいました。ここでは飲んだウイスキー、読んだ本、行った蒸溜所の記録などを気ままに綴っていきたいと思います。

カテゴリ: 長濱浪漫ビール

長濱浪漫ビールのウイスキーといえば、アマハガン、YAZUKA、聖闘士星矢やFINAL TANTASYとのコラボウイスキーなど多くののウイスキーが発売されています。いつもすごい企画力だなと思っていました。

 

その中で自社で蒸留されたカスクウイスキーを使用しているシングルモルト長濱は、2020年に初めて3種類リリースされたときにバー飲みができました。しかしその後、新しいものが発売されているのは分かっていてもなかなか出合う機会がありませんでした。今回あれから3年経って、久しぶりに出合うことができました。

 

マスターの話によるとオーナーズカスクとのこと。そんな貴重なボトルを飲ませていただけるとのことで感謝しながら飲みました。

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長濱浪漫ビール シングルモルト長濱 オロロソシェリーカスクカスクストレングス バッチ0016(オーナーズカスク)

NAGAHAMA DISTILARYSINGLE MALT JAPANESE WHISUKY NAGAHAMA OLOROSO CASK FOR CASK OWNER

 

製造者:長濱浪漫ビール株式会社+TF

原材料:モルト

仕様:500ml 62.3

価格:不明

発売:不明

DISTILLED 2019.7.06

BOTTLED 2023.1.06

MOLTS NON PEAT
ボトリング本数49本

 

飲んだ日:2023610

タイミング:ボトルラベル上部より少し下

 

香り:干し葡萄、ミルクチョコレート、とても心地よい香り、少し時間が経つとスパイス感、八角。加水するとフルーティーさが増す。

味:チョコレート、スパイシー、のち干し葡萄、後半ボリューミーで、印象に残る鮮烈さがある。シェリー樽なのにえぐみ感がなく、美味しく飲める。時間が経つとわずかに渋み感が出る、フルーツ感、シェリー感が強まり、いい意味でザ・シェリー樽ウイスキーになる。

加水するとフルーティーさとややえぐみ感が強まる。ボリューム感も増し、より個性が強まる。

 

これ、すごくいいですね。いままで飲んだシングルモルト長濱では一番美味しいかも(たった4本ですが)。オロロソシェリー樽の良い部分がきれいに出ていて、かつウイスキーの鮮烈さがあるのが素晴らしいと思いました。この鮮烈さを持っているジャパニーズウイスキーはそんなに多くはないと思っています。

 

これは樽の選定が良かったのではというのと、3年半の熟成期間が若すぎず、過熟になりすぎずちょうどいい美味しさになったのかなと思っています。最近飲んだ7年熟成のグレンロセスシェリーカスクがやはりきれいで鮮烈かつ濃厚な美味しさを持ったもので、それに似た味わいでした。

 

他の長濱ウイスキーも飲んでみたいなあ、そういえば長濱蒸溜所にも行けてないし…行きたいなあと思わせるいいボトルでした。

前回ANAHAGANEdition No.1について書きましたが、今度はいきなり変化球の歌舞伎座エディションになります。実はEdition No.1を飲むより前に先に飲む機会がありました。

 

前々回の余市10年を飲んだ後に何を飲むか考えていたときに、暗めのバックバーに見かけたことのないラベルを発見しマスターに訊いてみたところAMAHAGANの歌舞伎座エディションなんですと紹介されました。

 

AMAHAGANの基本となるEdition No.1を飲んだ後にこちらに投稿したいと思い、飲んだ順番を変えて投稿してみました。

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長濱浪漫ビール AMAHAGAN ワールドモルト 歌舞伎座エディション

NAGAHAMA DISTILARY  AMAHAGAN World Malt Kabukiza Edition

 

製造者:長濱浪漫ビール株式会社+TF

原材料:モルト

仕様:700ml 47

希望小売価格:7,700円(税込)

発売:2021111

 

飲んだ日:202313

タイミング:ボトルラベル上部

 

香り:バニラ、糠、枯れ木、何かの酸味、時間が経つとアルコールっぽい甘み。加水すると軽やかな甘みに。

味:濃厚な甘み、柔らかさ、サラサラ感、若い原酒の微妙な硬さ、軽いキックの後スッと甘さが引いていく。時間が経つとジンのような苦味が加わる。加水するとバランスの良い砂糖水系の甘さに。

 

結構いい出来のウイスキーですよねとバーテンダーさんのお話でした。自分にとっては、まだ若い印象が強い感じなのかな、そしてEdition No.1を飲んだ後には、同じ傾向のウイスキー、もしかしてEdition No.1のラベル張り替え?などと思ってしまったのですが、これを書くためにネットで情報を調べてみると、上記のコメントは的外れだったことが分かってきました。

 

歌舞伎座エディションは歌舞伎ファンの方にも長濱蒸溜所が手がけるウイスキーを楽しんでもらいたいという想いから企画が実現、歌舞伎座と同じ銀座にある「BAR GOYA」のオーナーバーテンダー山﨑剛氏が監修しているとのことです。

 

山﨑氏はバーテンダー大会の第46回バーテンダー技能競徳島大会で総合優勝したキャリアの持ち主で、その他にも2007年の第1回シェリー・カクテル・コンペティションでのグランプリ、2008年の第7回ベネンシアドール公式称号資格認定試験で最優秀賞を獲得した日本で唯一のシェリー界の二冠王者なんだそうです。

 

なのでAMAHAGAN歌舞伎座エディションは、山﨑氏の経験とこだわりを最大限に表現するためにシェリー樽で後熟をしたようで、自分の鼻と舌ではそれらしいものをほとんど捉えられていませんでした。

 

山﨑氏のテイスティングコメントを一部抜粋すると、「トップノートは長期熟成のオロロソシェリーのような甘いニュアンスとオイリーさ、その後ロースト香が顔を見せ、樫の木のニュアンス、ダークチェリー、アモンティリャードのようなナッティーさが徐々に現れる」。

 

味わいは「口に含んだ瞬間に感じる甘やかさはすぐにドライ感へと移行。ほのかなスモーキー香にソルティー感、ビターチョコ、プルーンのニュアンス。力強いアタックとワイルドな味わいの中にある繊細さから、非常に複雑な味わいが構成されており、まるでパロ・コルタドを彷彿とさせる。時間の経過とともに現れるシトラスのフレッシュ感と熟れたフルーツ香が混在。スパイシーさも感じられる。アフターは力強さを舌に残しつつ、緩やかで伸びのある余韻が続く。ウッディな香ばしさが爽やかで、最後にミルクチョコの優しさが包み込む」とまるで違うものになっています。

 

Youtubeで見たバーテンダーの方がテイスティングしたコメントだとチョコレート系でかつビターというお話でした。

 

うーん、体調が悪かったのかなあ、その前に余市10年を飲んだのでドライな方向に振れすぎたのか…。読んでいただいた皆様すみませんでした。これは再度飲んで検証しなければならないところですが、飲んだバーにはさすがにもう無いだろうなあ。

※2023年6月18日追記
コメント欄に寄せていただいた、ウイスキーワニダに行って再度飲んできました。飲んだのは3杯目でしたが、今度はきちんとシェリー樽感を感じました。嫌なニュアンスはなく、公式テイスティングコメントにあったプルーン感がきちんと立っていました。うーん、前回飲んだ時は体調が悪かったのかなあ、ということにしておきましょうか。。。
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本日20235月4日は、このブログを立ち上げてから丸4年目の日となります。ちゃんとカウントしていませんが、たぶん300種類以上飲んだようです。そして、このブログのおかげかいろんなジャパニーズウイスキーと縁ができ、だいぶ世界が広がったと思います。

 

このブログを漠然と思い描いていたときは、現行のボトルは早いうちに飲んでしまって、過去のオールドボトルに遡っていくことをイメージしていました。ところが新しい蒸留所が雨後の筍のようにできてきて、JWICの蒸留所データによると準備中のものも含めると93もあり、国内すべてのメーカーのウイスキーを飲むという野望達成も先の長い話になりそうです。

 

そんな記念すべき日に取り上げるのは、IWSC2023で金賞を受賞した長濱浪漫ビールのAMAHAGAN Edition No.1です。

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長濱浪漫ビール AMAHAGAN World Malt Edition No.1

NAGAHAMA DISTILARY  AMAHAGAN World Malt Edition No.1

 

製造者:長濱浪漫ビール株式会社+TF

原材料:モルト(イギリス製造)

仕様:700ml 47

希望小売価格:5,390円→6,050円(税込)

発売:2018124

Non-Chill filtered, Non Coloured

 

飲んだ日:2023311

タイミング:ボトルラベル上部

 

香り:爽やかな柑橘系、レモンとオレンジの間、その奥に仄かな甘み。時間が経つとスパイス感と酵母感が加わる。加水すると酵母感が増す。

味:水飴、ハッカ、グローブ、ペッパー、後口にはあっさりとしたマンゴー。加水するとドライ感が増す。

 

香りは柑橘系の酸味が中心ですが、味わいは比較的プレーンな味わいでスッキリ、かつ苦味も含めた辛口な後味でした。若さを感じますね。

 

このAMAHAGAN World Malt Edition No.1は長濱蒸溜所が2017年にニューメイクを発売した後、将来のシングルモルトリリースに向けて、ウイスキー造りの「ブレンド」に焦点を当てて生み出されたブレンデッドモルトウイスキーだそうです。

 

AMAHAGANNAGAHAMAのスペルを後ろから並び替えたもの。これも文字をブレンドしたということでしょうか。なかなかウィットに富んでいていいですよね。

 

ちなみにAMAHAGANはワールドモルトウイスキーで、ベースは海外のモルトウイスキーを使用し、そこに長濱蒸溜所のモルトを絶妙にブレンドしたと公式コメントにあります。「モルティな風味」を最大限に活かせるように、アルコール度数も47度とこの手のウイスキーとしては高めにしたそうで、ブレンドの設計の核は「モルティ」なんですね。

 

個人的にはもう少し個性がある味わいが好みですが、それはAMAHAGANの他のシリーズで対応しているようです。現在Edition No.1の他にNo.2No.3、山桜、ピーテッドと全5種類があるので、少しずつトライしていきたいと思っています。

 

さて、今後のジャパニーズウイスキー探求日記ですが、仕事や私事で当面の間忙殺されそうなので、投稿するのは不定期にしたいと思います。ただできる限り飲んで投稿したい気持ちはあるので、全体としては最低月4回は維持したいと思っています。

 

そうしないと日本全国のウイスキーそして、過去の失われたウイスキーを飲むという野望が達成できないと思いますので。さあ、仕事もブログも頑張ろう!
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シングルモルト長濱3本目はシェリーカスクです。公式サイトには「バーボンバレルで1年間熟成した後に、オロロソシェリーのクォーターカスクで2年間の熟成を行いました」と書いてあります。色合いもかなり3本の中では最も濃い目の赤茶色で期待が膨らみました。

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長濱浪漫ビール シングルモルト長濱 オロロソシェリーカスクカスクストレングス バッチ0149

NAGAHAMA DISTILARYSINGLE MALT JAPANESE WHISUKY NAGAHAMA SHERY CASK

 

製造者:長濱浪漫ビール株式会社

原材料:モルト

仕様:500ml56.1

参考小売価格:15,000円(税抜)

発売:2020519

ボトリング本数:204

DISTILLED2017.4.03

BOTTLED:2020.4.20

CASKNo.#0149

MALTSNON PEAT

 

飲んだ日:2020618

タイミング:口開け

 

香り:濃厚なミルクコーヒー、かりん糖、干しぶどう、加水すると華やか。

味:濃厚なミルクコーヒー、ウッディー、かなり美味しいです。時間が経つと濃厚な南国フルーツ感が湧いていきます。加水するとまろやか&ドライ。

 

フルーツ系が好きな自分としては、3本の中でこのシェリーカスクタイプが一番好きです。だいぶよっぱらってきたせいもあって味わいのコメントが単調になっていますが、公式サイトですと「ベリーやレーズンなど、ボリュームのある口当たり。紅茶を思わせるリーフィーなタンニンが全体を引き締めます。余韻に感じるスパニッシュオーク由来のスパイシーさが印象的」とその詳細が書かれています(うん、自分のコメント合っているような、違うような…)。
 

3本とも3年という一般的には短期熟成モノになるかと思いますが、どれも魅力的なウイスキーに成長していると思います。これからさらに新商品が発売されていって、長濱ウイスキーが入手しやすくなればいいなあと思っていますが、ふと思い当りました。

 

この長濱蒸溜所野コンセプトは「一醸一樽」だそうで、その考え方をもとに今回は「バーボン樽」「シェリー樽」「ミズナラ樽」原酒を各1樽、シングルカスク、カスクストレングスでボトリングしたとのことです。ということは、今後一般にそこそこ流通するような商品は出ず、基本はカスクストレングスの限定販売パターンになるのではないでしょうか。

 

まあポットスチルの大きさが、小さいといわれている秩父蒸溜所の半分なわけですから大量生産はできないですよね。これからも少ない供給量で、長濱ウイスキーが奪い合いになる可能性高そうです。

続いて2本目にいってみましょう。次はミズナラカスクです。公式サイトには「ミズナラ樽熟成としては非常に珍しいライトリーピートモルトを原料にミズナラの新樽で3年間の熟成を行いました」と書いてあります。今回発売された3本中、他の2本はノンピートなので、樽の選択としても面白いし、一番最初に発売されるラインナップに投下するのも変化球蒸溜所なのか、個別の樽に自信を持って取り組んでいることの現れなのかなど、いろいろと想像できて面白いです。

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長濱浪漫ビール シングルモルト長濱 ミズナラカスクカスクストレングス バッチ0002

NAGAHAMADISTILARY SINGLE MALT JAPANESE WHISUKY NAGAHAMA MIZUNARA CASK

 

製造者:長濱浪漫ビール株式会社

原材料:モルト

仕様:500ml53.7

参考小売価格:15,000円(税抜)

発売:2020519

ボトリング本数:260

DISTILLED2017.3.20

BOTTLED:2020.4.22

CASKNo.#0002

MALTSLIGHTLY PEATED

 

飲んだ日:2020618

タイミング:口開け

 

香り:甘い香木、生木、花の香り。

味:バニラ、バナナ、ピート感、比較的まろやか、若さはつらつの背景に程よい甘やかさ、華やかな印象。加水するとよりいっそう華やかつ華やかで、意外と味わいが繊細。

 

今までいくつかミズナラカスクのウイスキーを飲んできましたが、正直ミズナラっぽさをあまり感じないものもありました。もともと鼻が弱いこともあり、ミズナラの香りにあまり鼻が反応しないのだろうと思っていました。また、ある方からの話によると、短熟でミズナラの風味をつけるのは難しいということも聞いたことがありました。

 

しかし、このボトルは熟成期間が3年でありながら、しっかりとミズナラ感を受け止めることができました。これは長濱という土地の気温の問題で熟成が早いからなのか、酒質が合っているからなのか、樽の大きさがいいのかなどなど、いろいろと考えられるかと思います。いろんな要素のバランスで風味が決まることに、あらためてウイスキーの不思議さを感じます。
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