キンショーウイスキーを知ったのはいつだったか、もう思い出せません。誰かのブログだったかもしれません。ネットでいろいろ調べたところ、新潟にもかつてウイスキー作りに挑んだ会社があったたけど2008年民事再生法を申請、2010年にウィスキー製造免許を返上しもう製造をしていないと知りました。

 

その頃、酒蔵に10年以上貯蔵されていたウイスキーを、かつてボトルとして使用されていたヌードボトル瓶で復刻させて再販売されたと知り、急ぎ購入したものです(そちらはまだ保管中)。その後、ヤフオクでついに一升瓶キンショーウイスキーを見かけ注目していましたが、誰も入札せず確か1,800円ほどで落札しました。

 

このキンショーウイスキーは1945年の敗戦直後から製造に着手したそうで、自家製モルトとハイランドモルトおよび米取りアルコールを適宜配合しているとのことです。戦後の一時期はイギリス大使館に納入していた実績もあるとか。

 

そんな期待とノスタルジーな気持を持って飲んでみました。

IMGS_1958

金升酒造 キンショーウイスキー 2

KANEMASU KinshoWhisky

 

製造者:金升酒造株式会社

原材料:モルト、ブレンド用アルコール

仕様:1800ml39

希望小売価格:1,850円(1982年頃)

発売:1945年頃から。1983年発売の『痛快! 地ウイスキー宣言』には別のラベルのものが掲載されており、それ以前はアルコール度数37度であることから、このボトルは1983年以降1989年以前と想定されます。

 

飲んだ日:201934

タイミング:口開け

 

香り:グラスに注ぐとまずは薬っぽさ、鼻を近づけると酢酸、時間が経つと糠。

味:麦みたいに思わせて砂糖水のようなシンプルな甘さの後、人工的な酸味、ピーティーさ、沢庵とか糠、麹のような独特な風味、今までにはなかった不思議な味わい。時間が経つとミルクチョコ的味わいも感じられて面白い。

 

とやや余裕をもったコメントを残していますが、実は飲むのに苦労しました。特に香りに酢酸のようなきつめの酸があり、これには最後まで慣れることができませんでした。しかし、ある時思い立ってハイボールにしてみたところ、これはイケました。

 

香り:爽やかかつスモーキー、酢っぽい匂いも気にならない。

味:程よい酸味と香ばしい味わい、えぐみは抑えられ輸入モルトの香味がいい感じでキリッとしまっていて結構行ける! もともとストレートで飲む用のウイスキーではない気もしてきました

 

ちなみに水割りのトワイスアップにもしましたが、こちらはそれなりでした。

香り:酢、木の樽、焦がした醤油。

味:焦がした麦のエキスを水で薄めた感じから入り薄めた酢を背景にクローブ、ピート感、全体的にまろやかかつ穏やかな中に一部尖ったアルコール感。

 

ボトル1本をほとんどストレートで飲みましたが、味わいとしては不味さと美味しさが共存している、本当に不思議なウイスキーでした。口に含んですぐは厳しい味わいですが、我慢していると口の中に美味しさの芯みたいなもの…つまりハイランドモルトのオールドボトル風味といったものでしょうか、これを見つけながら飲むという高等テクニックを使いました(笑)。

 

それでも飲んでいくうちに馴染んできて、ボトル下から51センチくらいのあたりはブレンデッドスコッチウイスキーのオールドボトルのような味わいを感じるようにもなりました。しかし、飲み終わるまで約1年。長かったです…。

 

なお金升酒造は新たな出資者を得て20111月には民事再生手続きを終えて再建を果たしました。現在は日本酒、焼酎の製造販売で人気を博していて、歴史ある酒蔵を公開し蔵カフェなどもやっています(現在は改修中かもしてません)。一度、キンショーウイスキーを携えて、かつて蒸溜機のあった新発田の地を訪ねてみたいと思います。