ジャパニーズウイスキー探求日記

ジャパニーズウイスキーにいつしか魅せられて、どんどん新しいウイスキーを飲みたくなり、知りたくなってしまいました。ここでは飲んだウイスキー、読んだ本、行った蒸溜所の記録などを気ままに綴っていきたいと思います。

カテゴリ: 若鶴酒造

以前に三郎丸蒸留所と長濱蒸溜所の原酒交換から生まれたFAR EAST OF PEATSECOND BATCHを飲んだことがありましたが、FOURTH BATCHと出合うことができましたので、早速頼んでみました。

 

このFOURTH BATCHの原酒交換の相手は長濱蒸溜所ではなく、江井ヶ嶋酒造の江井ヶ嶋蒸溜所(以前はホワイトオーク蒸留所でしたが2019年に改称されたんですね)となります。

 

どのような味わいになるのか興味津津ですが、単純に2社のバッティングだけでなく、スコッチウイスキーもバッティングされているものなので、どちらかの蒸溜所の原酒が色濃く出ているものなのか、全般的にバランス良く調整されたものになっているのかは飲んでからのお楽しみといったところです。

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若鶴酒造 FAR EAST OF PEAT FOURTH BATCH Blended Malt Whisky

SABUROMARU DISTILLERY FAR EAST OF PEAT FOURTH BATCH Blended Malt Whisky

 

製造者:若鶴酒造株式会社

原材料:モルト

仕様:700ml 50

希望小売価格:6,985円(税込)

発売:2022222

販売本数5,000

 

飲んだ日:202264

タイミング:ボトル肩口くらい

 

香り:麹、塩気、海辺の香り。加水するとピート感強め。時間が経つとスモーキーさが出てくる。飲んだ後の香りは土埃。

味:麦の甘みから入り、ヨーグルト感のちピート感、アルコール感、えぐみのち塩気と辛み。ニューポットにニュアンスが近い。

 

と、かなり若いピート感強めのウイスキーの印象でした。ピートっぽさが好きな方には、比較的ダイレクトに味わえるので、楽しめるボトルになっているのではないでしょうか。

 

メーカーの公式コメントによると、「2018年蒸留の三郎丸蒸留所へビリーピーテッドモルトと江井ヶ嶋酒造のバーボンカスク熟成ライトリーピーテッドモルトに加え、スコッチモルトを吟味してブレンド」したそうです。

 

そして「モルト原酒のみを使い、華やかで多層的な味わいを目指しました」とありましたが、華やかさは自分の嗅覚味覚では感じることができませんでした…。

 

SECOND BATCHと比べると香り、味わいともに類似はしている印象ですが、よりプレーンな印象のように思えます。自分の中では「あかし」はプレーンな味わい(であるがゆえに、樽の使い分けでその特性が色濃く出やすい)なので、そういった意味では三郎丸蒸留所原酒の特長を惹きたてつつひっそりと主張する役割になっているのかなと思いました。

 

原酒交換についてはブレンダーマネージャーの稲垣貴彦氏が若鶴酒造公式サイトに思いを寄せています。日本はスコットランドと比べ、蒸留所の数が少なく、小規模でるため使用できる原酒のバリエーションが限られるといった課題があり、この原酒交換で今までにない新たな可能性を持ったウイスキーを届けたいと…。

 

確かにサントリーだと自前でポットスチルの形状を変化させて、多様な原酒作りと行えたりしますが、小規模な蒸留所では難しいです。それを個性として売り出すのも1つの手だとは思いますが、いろいろな挑戦は飲み手を楽しませてくれますので、これからも期待をしたいと思います。
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前回投稿の厚岸ウイスキーの立冬を飲むことができましたので、改めて心を落ち着けて次のボトルを探します。しかし、目の前のバックバーはスコッチウイスキーでジャパニーズウイスキーはだいぶ離れたところにあり、珍しそうなボトルが置いてあるのはぼんやりとわかるのですが、何があるのかよくわかりません。

 

初めて伺ったバーでボトルを見るために移動するというのも無粋な話だなあと思い、最初に貰ったおススメメニューにまだ飲んでないウイスキーがあったのでそれを頼むことにしました。

 

それがこのFAR EAST OF PEATSECOND BATCHです。ボトルの存在は知っていたのですが、初のご対面です。三郎丸蒸留所の原酒と長濱蒸溜所がキーモルトとのこと。楽しみです。

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若鶴酒造 FAR EAST OF PEAT SECOND BATCH Blended Malt Whisky

SABUROMARU DISTILLERY  FAR EAST OF PEAT SECOND BATCH Blended Malt Whisky

 

製造者:若鶴酒造株式会社

原材料:モルト

仕様:700ml 50

希望小売価格:5,900円(税抜)

発売:2021330

販売本数:5,000

 

飲んだ日2022:年34

タイミング:ラベル上部

 

香り:ピート感、スモーキー、塩気と甘み。

味:濃厚な砂糖の甘み、ピート感、スモーキー。複雑さはあまりないものの、こってりかつしっとりとした甘さとピート感、そしてスモーキーさがいい塩梅に馴染んで美味しい。加水をしても基本的な味わいはあまり変わらない。全体的にクリアな感じに。

 

まだ若さの感じられる原酒とピート感が美味しさを演出しています。公式サイトによると「2017年蒸留の三郎丸蒸留所のヘビリーピーテッドモルト&アイラクオーターカスク熟成の長濱蒸留所ライトリーピーテッドモルトに加えスコッチモルトを吟味してブレンド」したとのこと。

 

若鶴酒造の2017年蒸留の原酒は、ポットスチルの上部こそ銅製にしましたが、本体はステンレス製のものでした。ニューポットを以前飲んだ時、奇しくも「砂糖の甘さにピート感」と記していましたが、今回も似た印象を受けていました。ただ味わいのどういった部分が三郎丸でどれが長濱かスコッチモルトかを言えないところが自分の未熟なところです…。

 

それにしても、この原酒交換のプロジェクトは面白いですね。この「FAR EAST OF PEAT」はクラフトウイスキー蒸留所同士の原酒交換による製品化は日本で初めてのもので、この商品化の背景には「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」が定められたことだそうです。

 

スコットランドと比べて蒸留所の数が少なく、小規模な蒸留所が多いこと。そして原酒交換の伝統もないので、使用できる原酒のバリエーションが限られてしまうという課題解決のために、基準を遵守しながら日本のウイスキーが多様性を打ち出していこうという考えだそうです

 

たしかにジャパニーズウイスキーの定義はできたものの、大手三社は自ら施設をもっているからいいものの、クラフトウイスキーのメーカーは厳しいものがありますよね。個人的にはグレーンウイスキーを国産でまかなえるような体制にしないと、本当の意味でジャパニーズウイスキーが根付くのは難しい気はしています。

 

話をFAR EAST OF PEATEDに戻しますが、長濱蒸溜所とコラボした商品は若鶴酒造からは同時に2種類発売されています。BATCH ONEがもう1つのものですが、こちらは2017年蒸留の三郎丸蒸留所のヘビリーピーテッドモルト&アイラクオーターカスク熟成の長濱蒸溜所ライトリーピーテッドモルトだけでつくられています。

 

お値段もぐっと上がって15,000円(税別)。BATCH23倍近くになります。輸入モルトって安いんだななどと思いつつ、BATCH1も機会があったら飲みたいなと思ってしまうのでした。

 

最後に新しいバーの開拓はいいですね。新しい発見があります。こちらのバーも、また寄らさせていただきたいと思います。今度はジャパニーズウイスキーの前に座らなきゃ。

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今回は若鶴酒造の三郎丸1994です。購入したのはたぶん発売されて間もないころだと思います。休日出勤していて、お昼に事務所近くのハセガワリカーの前を通ったところ見かけないボトルがあり、何だろう?と近寄って見るとこのボトルでした。

 

以前に若鶴20年を飲みましたが、いい持ち味があったのに飲みこなせなかった印象が残っており、リベンジのつもりで購入を決めました。当時怖いもの見たさのような気分もあったかもしれません。今から思うと、休日出勤バンザイですね(笑)

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若鶴酒造 三郎丸1994 シングルモルト

Wakatsurushuzo SABUROUMARU 1994 Japanese Single Malt Whisky

 

製造者:若鶴酒造株式会社

原材料:モルト

仕様:500ml 50

希望小売価格:14,000円(税別)

発売:201611

Distilled1994

Bottled2016

限定販売500

 

飲んだ日:2021515

タイミング:ボトル1/4くらい

 

香り:優しい黒糖、スモーキー、ヨード、ピート感、僅かに酸味、加水をするとアーシーに。

味:黒糖、セメダインの尖った感じ、スモーキー、枯葉、煙草、強いキックの後辛み。そこそこドライかつピート感あり。加水をすると入り口はやや穏やかに、キックはより先鋭的に、後口はアーシー、テロワール感が強まった気がする。加水をすると変化をより楽しめるかも。

 

若鶴20年とは似たニュアンスもありますが、まったく別物の味わいですね。時間が経てば経つほど旨さが滲み出てくるタイプです。

 

このウイスキーの魅力をなんと言ったらいいでしょうか。若い時は荒々しかったモルト原酒が、時を経て角も落ちて味のある大人に成長するも、ところどころに若いころのワルの顔が出るイメージとでもいったらいいのかな。人を選ぶかもしれないですが、独特な美味しさがあると思いました。

 

面白いのが口開けに近い頃の方が穏やかなんです。香りは甘くフルーティーで心地いい、ネーブルオレンジ、杏、微かにウッディー、塩気。味はまろやかな口あたり、蜂蜜、ネーブルオレンジ、クローブから辛み、後口にはポン柑飴と塩気が緩やかに残るとメモに残っています。なかなか不思議なウイスキーです。

 

それでは、このウイスキーはどういうものなのでしょうか。原酒は100%自家蒸留のシングルモルトでピート麦芽フェノール値50ppmのヘビーピートタイプです。酵母はエール酵母を使用し、バーボン樽で約22年貯蔵しています。

 

そして、こういった特徴ある味わいになったのは、ステンレス製のポットスチルで蒸留したのが大きいのではと思います。通常では銅製のものを使用して不純物が蒸留されにくいスタイルをとるのですが、焼酎用のものの転用であったために産まれた偶然のたまものですね。

 

酒販店モルトヤマ様のMALTYAMA OWNER’S BLOGでは、もう少し突っ込んで「穀物の植物感に関しては、以前はポットスチルを焼酎の蒸留に使用していたり、ネックやコンデンサーをきれいに洗浄できていないまま初溜と再溜を同じポットスチルで行っていたりなど、いろいろな要因が考えられる」と若鶴酒造さんから聞いたと思われる話を載せています。

 

しかし、こういった崖の端っこを駆け抜けるようね際どい美味しさは、今後は味わうのが難しくなっていきます。三郎丸蒸留所は大規模改修がされていき、ポットスチルは銅製どころか世界初の鋳物製のZEMONで他社のウイスキー原酒を圧倒するようなまろやかな味わいを生み出そうとしています。

 

本来進歩するのはうれしいはずなのに、消えていく異物に郷愁を感じてしまう自分は相当アナクロだなあと思わず苦笑してしまいます。

 

このボトルについては購入した時はこういった背景はあまり知りませんでした。くりりん様のくりりんのウイスキー置き場では、かつて三郎丸蒸留所改修のため「クラウドファンディング成功を記念し、同社が所有する原酒の中からリリースされた」1本と裏話?が記されています。全部で500本の限定生産の貴重なボトルが店頭で普通に置いて売られていた2016年が懐かしいです。

最後に昨年三郎丸蒸留所見学に行った際に、このボトルを連れていきました。現地の水と現地の食べものと一緒に味わいたいという欲求がありまして、実行いたしました。現地の水は「いろはす砺波の天然水」、食べものはスーパーで購入した豆餅としました。ボトルラベル上部くらいのタイミングでした。

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香り:栗のような甘さ、杏、オレンジ加水すると渋目のチョコの甘み、やわらかな酸味。

味:焦がした麦、ウッディー、オレンジ、ピート感、ほろ苦さ、塩気、結構複雑。いろはすはまろやかで甘め。豆餅とお互いを引き立ててよく合う、加水するとまろやかな栗の甘さ、杏、辛み。

という具合でした。

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ついでに、関東で売っている「いろはす」とどう違うか知りたくなり、飲み比べをしてみました。

砺波の天然水:気持ち硬め、シャープで透明感、味の変化なし。

白州の天然水:気持ち柔らかめ、入り口はシャープさもあるが途中からまろやかさもある。

上記はいずれも僅かな違いで似てはいる。

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昨年、三郎丸蒸留所の見学に伺いました。その前に予習用にサンシャインウイスキーを購入するつもりで八重洲のリカーハセガワに行ったところ、なんと限定品で入手できないと思っていたサンシャインプレミアムワインカスクフィニッシュも売られていたので、一緒に買ってきてしまいました。

 

あとで調べてみたら北陸地方での限定販売だったらしいのですが、さすがリカーハセガワさん。きちんと取り揃えてありますね。ただ、予習用のつもりだったのですが、なんとなく口開けするふんぎりがつかなく、今年の5月に入ってようやく飲み始めたところです。

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若鶴酒造 サンシャインウイスキー プレミアム ワインカスクフィニッシュ

WakatsurushuzoSUNSHINE Whisky PREMIUM WINE CASK Finish

 

製造者:若鶴酒造株式会社

原材料:モルト、グレーン

仕様:700ml 40

希望小売価格:2,500円(税抜)

発売:2017621

限定販売

Non-Chillfiltered& Non-Colored

 

飲んだ日:202151

タイミング:口開け

 

香り:ブドウの甘味と酸味、美味しい醤油、軽くピート感。

味:焦がした麦から入り、赤ワインの酸味、クローブ、山椒、木の樽と渋みがいいアクセントとなり、アルコールのキックの後、切れ味よくドライに収束していく。

 

モルトウイスキーのワインカスクのようにはいきませんが、なかなか楽しめる一杯でした。この後も飲み進めていくと少しずつワイン樽感やフルーティーさも強まってきて、より一層飲みやすくなっていってます。

 

また、仕込水で加水するとワイン感とフルーティーさが強まり、かなりいい感じとなりました。まだ試してないですが、ハイボールでもキリッとした味淡いとフルーツ感が楽しめるのではと勝手に想像しています(笑)

 

このボトルの今のところの印象だと、ドライさとワインカスクらしさがいい塩梅になじんでいて、結果的にオリジナリティーあふれるボトルになっているのかなと思いました。これは三郎丸蒸留所で製造されたモルト原酒が50PPMのピーテッドタイプで、独特の味わいがあるのがいい意味で影響しているのが原因の1つだと思います。

 

ちなみにフィニッシュに使用したワイン樽は、長野県のワイナリーの赤ワイン樽だそうです。この樽もいい仕事をしていますね。まだ飲んでいる途中ですが、どのように味わいが変化するのか楽しみです。

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三郎丸蒸留所のニューポットは前回に2020アイラピーテッド45PPM 木桶仕込を投稿しましたが、今回はその前年の2019年に仕込まれたものです。2020年との違いとしては両方とも鋳物ポットスチルのZEMONで蒸留されていますが、こちらはまだ発酵が木桶を使われていないタイプのものです。

 

実は昨年三郎丸蒸留所に行った時に、ブックトレイルという書籍型のケースに入った小瓶を自分へのお土産用に2018年、2019年蒸留のものを購入していました。後で家でも飲み比べしようと思っていたわけです。そしてこのボトルを銀座リカーマウンテンで2020年のものだ!と勘違いして2019年の同じ日に作られたものを購入してしまったわけです。俺のバカ!(笑)

 

ということで、このボトルは知り合いにおすそ分けして早めに飲んでしまうつもりで口開けしました。

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若鶴酒造 三郎丸 ニューポット2019ヘビリーピーテッド ZEMON

Wakatsurushuzo SABUROMARU NEW POT 2019 HeavilyPeated ZEMON

 

製造者:若鶴酒造株式会社

原材料:モルト

仕様:200ml 60

希望小売価格:2,200円(税抜)

発売:20199月?

限定1,000

 

飲んだ日:2021510

タイミング:最後の一杯

 

香り:粉っぽい麦の甘さ、麹、ピート感、仄かにヨード。

味:麦の甘さ、麹、ピート感からヨーグルトが滲み出る。クローブ、ヨード、さまざまな味わいが口中を駆け巡る。アルコール度数は強いもののなかなか楽しめる。

 

ちょっと意外だったのは、最後の一杯が一番美味しかったことです。ニューポットって自分の中では口開けは美味しいけど、飲み進めるとどんどんドライになって、最後は厳しい味わいになる印象でした。

 

今回飲んだボトルの口開け時の味わいは、グラスに注ぐとまずは爽やかな甘さと酸味が漂ってきて、鼻を近づけると塩気とピート感、そして麹的な甘さの香り。味わいは、濃い砂糖水、水飴の甘さから入りピート感、麹感、金属的かつヨーグルト的酸味、ねっとりこってりとした酒質でキックもしっかり、ずっしりという、いかにもニューポットらしいものでした。

 

これが飲み進めると複雑さを増していくわけですが、ニューポットで複雑さを増すというのはいったいどういうことなのだろう!と驚かざるをえません。

 

これが鋳物ならではのポットスチルで蒸留した原酒の輝きなのでしょうか。ZEMONは型に溶かした金属を流し込み成形する鋳造工法ですが、銅、錫の2つの効果で酒質をよりまろやかにし、今までにない高品質な蒸留酒を生み出せるとされています。

 

確かにこれで、将来の三郎丸ウイスキーは飛躍的に味わいが変わるだろうなと思わずにんまりしてしまうのです。
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