ジャパニーズウイスキー探求日記

ジャパニーズウイスキーにいつしか魅せられて、どんどん新しいウイスキーを飲みたくなり、知りたくなってしまいました。ここでは飲んだウイスキー、読んだ本、行った蒸溜所の記録などを気ままに綴っていきたいと思います。

カテゴリ: 江井ヶ嶋酒造

前回は厚岸ウイスキーの大雪を飲んだ話でした。このバーでは、もう飲んだことのないジャパニーズウイスキーもないかなと思っていたのですが、マスターから最近来てない間に新しいボトル入ってますよと言われて出てきたのが、このあかしバーボンバレル7年です。

 

バーに行かないと新しいボトルの情報はなかなか入ってこなくなるなと実感しますね。ボトルをよく見ると7年熟成ではないですか。一時期長期熟成の原酒はほとんど底をついたという記事をどこかで見かけたことがあった気がしますが、ようやく原酒が貯まってきたのでしょうか。

 

7年熟成は自分が飲んだことのある江井ヶ嶋酒造のウイスキーの中で最も長熟です。これは楽しみだ!ということで、もちろん頼んでみました。

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江井ヶ嶋酒造 シングルモルトウイスキーあかしバーボンバレル7年カスクストレングス

EIGASHIMA SHUZO Single Malt Japanese Whisky AKASHI BOURBON  BARREL 1st  Fill AGED 7 YEARS CASK STRENGTH

 

製造者:江井ヶ嶋酒造株式会社

原材料:モルト

材料原産地名:国内製造(モルトウイスキー)

仕様:500ml 60

希望小売価格:15,400円(税込)

発売:20221122

数量限定:930

ノンカラー、ノンチルフィルター

 

飲んだ日:2023119

タイミング:ボトル2/3くらい

 

香り:軽やかでフローラルな甘やかさ。時間が経つと少し塩気も。加水すると塩気とバニラ感が強まる。

味:濃厚で粉っぽい口当たりのバニラ、はちみつ、渋みとそんなに強くない痺れ感。フィニッシュはミルクチョコレート。尖った感はほぼなく、しかしながらボリューム感があって美味しく飲める。加水するとバニラ感とアルコールのエッジ感に際立ち。

 

とても上質なザ・バーボン樽のウイスキーといった印象で、じっくりと向き合って美味しく飲めるボトルでした。アルコール度数は60度もあり、舌には軽い痺れ感を伴いますが、その割には刺激よりも満ち足りた感の方を強く感じます。あかしの原酒の酒質とファーストフィルのバーボン樽の相性が結構あっているのかもしれません。

 

このボトルについて調べてみますと、食品・酒類の総合卸の国分首都圏株式会社と江井ヶ嶋酒造が共同開発したボトルで、フェノール値10PPMのライトピーティッド麦芽を使用。江井ケ嶋蒸留所が蒸留した原酒をファーストフィルのバーボン樽で7年間熟成させています。

 

公式のテイスティングコメントだと「リンゴやハチミツ、ミントの香り、上質でまろやかな口当たりが特徴」とされています。リンゴやミントのあたりは気がつかなかった…。もう少しゆっくり開かせると良かったのでしょうか。

 

自分の中では結構評価が高い1本になったのですが、このボトルを調べているときにいくつかlの酒販店のページを見るとまだ買えるようです。残り本数はわずかですが…。500ml7年熟成で15,400円(税込み)は高く感じてしまうのでしょうか。

 

でも最近ちょっといいウイスキーのボトルを買おうとすると1万円以上の出費は普通になってきていますよね(以前は清水の舞台から飛び降りる気持ちで買っていたのが懐かしい…)。ボトル置き場に余裕があればポチっとボタンを押したいところなのですが、悩ましいです。

そういえば、日記を書いていて気がついたのですが、ラベルが微妙にマイナーチェンジしたんですかね。White Oakの表記がなくなっています。なんかボトル自体も以前に比べて品質の良さをイメージできるようになったのかなとぼんやりと思っています。
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前回の投稿は、バーで3杯目に飲んだモンデ酒造のシングルモルトカスクストレングス1983年蒸留(25年物)でした。これは強烈な味のウイスキーだという事前情報を知っていて、舌に影響を与える可能性があるので、一番最後に飲もうという考えでした。

 

確かに影響があったので3杯目にしたのは正解ではあったのですが、加水をしたためにあまりにも影響が大きすぎて、口の中がゴムっぽさでいっぱいになってしまいました。

 

このまま電車に乗って帰るのは嫌だなあと思い、こんな状態でも楽しめるウイスキーは無いかとマスターに尋ねたところ出していただいたのが、この江井ヶ嶋 栗カスクでした。なんとなく栗だと優しい感じがしてゴムの影響を払拭できるのかと思いましたが、素直に従ってみることにしました。

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江井ヶ嶋酒造 シングルモルト江井ヶ嶋 栗カスク

EIGASHIMA SHUZO SINGLE MALT JAPANESE WHISKY EIGASHIMA KURI CASK

 

製造者:江井ヶ嶋酒造株式会社

原材料:モルト(英国産ノンピート)

仕様:500ml 63

販売価格:11,000円(税込)

発売:202299

江井ヶ嶋酒造ネットショップ限定667本販売、本社見学時にも購入可能

ノンチルフィルター・ノンカラー・カスクストレングス

 

飲んだ日:20221031

タイミング:ボトル下から2センチくらい

 

香り:栗の甘さ、アルコール感。加水すると塩気と甘さに際立ち。

味:トロッとした栗の甘さから入り塩気、あかしにしては柔らかい味わい。

 

おお。口の中がゴムの風味でいっぱいになった後だったので、もう繊細な味わいを感じることはできませんでしたが、ゴムをゆっくりと解消するように栗の甘い優しさが口中を満たしていきます。うーむ、ゴムに勝つ栗! よく見るとアルコール度数が63%とモンデシングルカスクとほぼ同じ強さです。だからゴムに負けなかったのかななどと思いました。

 

マスターに感想を聞かれたので、コメントの通り「あかしにしては柔らかい」と話したところ、「それは誤解があると思いますよ、あかしで柔らかい味わいのボトルはたくさんあります」とのこと。そういえば、前回の日本酒カスクを飲んだ時にあかしは後口がドライ目だと思っていたけど違っていたと自分で書いていました。

 

江井ヶ嶋酒造様、一方的な思い込みをして申し訳ございませんでした。

 

さて、このシングルモルト江井ヶ嶋 栗カスクはどういうウイスキーなのでしょうか。公式サイトには国産の栗材を使用した新樽で3年間貯蔵したものと書かれています。ウイスキーの貯蔵樽としての利用は日本であまり聞いたことがなく、江井ヶ嶋酒造にとっても新しい試みなんだそうです。もちろんノンチルフィルター・ノンカラー・カスクストレングスです。

 

このボトルは江井ヶ嶋酒造ネットショップと本社見学で購入ができるそうで、このブログ用に情報を調べるとた時にもまだ販売していました。

 

テイスティングコメントがあまりにも雑なので、公式のコメントを見てみると「味わい:ほどよいボディ感、際立つ甘さに栗の渋味」「香り:甘くエステリー」となっていました。あまり変わらないかな笑

 

最後に「江井ヶ嶋」という新しいブランドについて簡単に触れますと、ウイスキー製造免許取得100年を迎えた2020年より、社名を掲げた『江井ヶ嶋ウイスキー』シリーズを展開しているとのことです。マスターの話や何かで見かけた記事では「あかし」よりハイブランドを想定しているようですが、3000円台のブレンデッドもあるという不思議なブランドです。

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投稿としては4ヶ月ぶりになるのが江井ヶ嶋酒造のシングルモルトあかしのウイスキーです。今回はなんと日本酒カスクの3年熟成になります。

 

今までライスウイスキーは飲んだことがありましたが、日本酒カスクはたぶん無かったのではないかと思います。日本酒も一時期好きで結構飲んでいたので、日本酒の酒樽で熟成させたとなるとどんな味わいになるのかちょっと興味津々で頼んでみました。

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江井ヶ嶋酒造 シングルモルトあかし3年 日本酒カスク #101528

White Oak Single Malt Whisky AKASHI AGED 3 YEARS SAKE CASK #101528

 

製造者:江井ヶ嶋酒造株式会社

原材料:モルト

仕様:500ml 50

希望小売価格:5,990円(税込)

発売:2018

ノンチルフィルタード、ノンカラー

江井ヶ嶋蒸溜所のみの限定販売

飲んだ日:2022910

タイミング:ボトル半分より少し下

 

香り:甘くフルーティー、白ブドウ、お酒の吟醸香、時間が経つと酵母感強め。加水すると酵母感がより一層強まる。

味:柔らかい入り口。黒糖、チョコレートから入りのち日本酒らしいお米の甘さの口当たり。口中は優しい幸せ感で満たされる。加水すると日本酒感がより強まる。

 

いやあ、結構日本酒っぽさがあり、ライスウイスキーとは似てことなる味わいなのかなと思いました。味わいにおける樽の影響力をあらためて感じます。また、今まであかしは後口がドライ目だと思っていましたが、このボトルを飲むとそんなことは無いと分かりました。

 

このシングルモルトあかし日本酒カスク3年について調べてみますと、日本酒を詰めた樽にウイスキーを詰めて熟成させたもので、日本酒造りの際、酵母を保護して活動を促すための乳酸を添加しているのが特徴とのことです。「日本酒カスクの最大の要素として香りに乳酸の風味がウイスキーへと移り、珍しいフレーバーとなっている」とJapanese Whisky Dictionaryにその特徴が記されています。

 

江井ヶ嶋酒造は1888年(明治21年)に設立し、日本酒の製造販売を始めました。同社は「神鷹」ブランドで数々の賞を受けており、美味しい日本酒カスクウイスキーを世に送り出すのにぴったりなメーカーだったんだなと分かります。

 

さて、今回調べていて「?」と思うことがありました。それは薄いピンクのラベルの「あかし3年日本酒カスク」と白ラベルの「あかし3年日本酒カスク #101528」と2種類の商品が存在していたことでした。いろいろな方のブログを読んでいってみると、どうも「#101528」は江井ヶ嶋蒸溜所でのみ販売していたようです。

 

通常の「あかし3年日本酒カスク」はヴァッティング、「あかし3年日本酒カスク #101528」はシングルカスクということなんでしょうかね。「あかし3年日本酒カスク」の販売価格は税込6,380円と「#101528」より少し高くなっています。流通経費分とかでしょうか。

 

この2つもどう違うのか飲み比べてみたいところですね。
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前回投稿しましたラッキーキャットアッシュ’99の 後は、久しぶりにシングルモルトあかしを飲みました。テキーラ(アネホ)カスク3年熟成ものです。

 

あかしは置いてあるバーが自分の身の周りだとあまりなく、あってもスタンダードなブレンデッドものがほとんどなので、貴重です。

 

とはいいながら、あかしの限定ボトルがあるところは、他にも貴重なジャパニーズウイスキーを置いてあるところも多く、ついつい別のボトルに手が出てしまいがちで江井ヶ嶋酒造さんには心苦しく思っております…。

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江井ヶ嶋酒造 シングルモルトウイスキーあかし 3年 テキーラ(アネホ)カスク

White OakSingle Malt Whisky AKASHI AGED 3 YEARS TEQUILA (ANEJO) Cask #101501

 

製造者:江井ヶ嶋酒造株式会社

原材料:モルト

仕様:500ml 50

希望小売価格6,380円(税込)

発売:2018

限定販売品

ノンチルフィルター、ノンカラー

 

飲んだ日:202251

タイミング:ボトルラベル下から2センチくらい

 

香り:素直な甘さ、テキーラらしい独特のえぐみ系の香り、わずかにやや尖り気味の酸味。加水するとフルーツ感、グレープフルーツ。

味:優しく艶のあるバニラの甘みからテキーラ的えぐみ、わずかにスモーキーのち辛み。加水すると柔らかい甘さ。

 

自分のイメージではテキーラはやや尖った味わいの甘さの味わいなので、そういった方向性かと思っていました。しかし思っていた以上にフルーティーで、口当たりの入りはとても優しかったです。やはりアネホ(長期熟成のクラス)だと味わいがちがうのでしょうかね。

 

しかし後半はそれなりにアタックにインパクトがありました。このあたりは「あかし」らしい味わいというのでしょうか。まあアルコール度数も50度ありますしね。

 

さて、ボトルについて調べようと思ったのですが、ネット上にはほとんど情報がありません。2018年に発売されたのはたぶん間違いないかと思いますが、同じ年に信濃屋から5年熟成のテキーラカスクも発売されていて、それらがごちゃまぜで書かれているものもあり、このボトルの出自がより分からなくなっている状態でした。

 

公式サイトを見ますと、江井ヶ嶋酒造さんのウイスキーは最近「あかし」ブランドのみならず「江井ヶ嶋」ブランドのウイスキーにも力を入れていたり、ラベルの色使いの印象がかわったものが出ていたり動きがありそうです。

 

また、熟成年数12年などかつてより長熟なものも限定ながらも販売されているようです。しかし、ブランドの違いは何なのかとか、どういったウイスキーを目指しているのかなど背景の物語がほとんど分からず、興味を引く材料が少なく見えてしまうのが残念です。

 

江井ヶ嶋酒造さんは日本酒やワインのラインナップがもともと主流で、ウイスキーは傍流だったかもしれません。しかし1919年にウイスキー製造免許を取得し、長い間地道に自社で蒸留しながらウイスキーを製造し続けたメーカーです。もっと自社の商品の魅力や歴史を自ら語ってもいいのかなと思います。IMGS_1275

前回はラッキーキャット チョコについて書きましたが、チョコを飲み終わった後を何にするかひと思案です。そのバーは本坊酒造のボトルを比較的取り揃えているので、駒ヶ岳やその他限定ボトルがぱらぱらと見受けられます。

 

ただ2杯とも本坊酒造のウイスキーというのも芸がない(?)なあと思っていました。そして、目の前にはあかし関係のボトルがごろごろと置いてあります。うん、あかしはまだ3本しか飲んでないし、丁度いいかもしれないと心を決めました。

 

老眼であまり細かい字が見えないので、一番残りが少なそうな薄ピンク色のラベルのものをオーダー。後でラベルを見るとLimousin Oak Cognac Caskとあります。うーん、読めない(笑)コニャックカスクというのだけは分かりました。

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江井ヶ嶋酒造 シングルモルトウイスキー あかし5年 コニャックカスク

White OakSingle Malt Whisky AKASHI AGED 5 YEARS Limousin Oak Cognac Cask

 

製造者:江井ヶ嶋酒造株式会社

原材料:モルト

仕様:500ml 55

希望小売価格:7,500円(税抜)

発売:201734月頃?(ネットでこのボトルについて酒販店、バー等で言及が出始めるのがこのあたり)

1100本限定販売

ノンチルフィルター(冷却ろ過せず)、ノンカラー(着色せず)

 

飲んだ日:2021625

タイミング:ラベル上部あたり

 

香り:穏やかなブドウと花の香り、そして木の樽。

味:濃厚なチョコレート、白ブドウ、洋梨、とろっとした粘度あり、まろやかさと荒々しさが同居。気持ちえぐみ感がありだが、好みのタイプ。

 

ポートパイプの後で、原材料が同じブドウでも味わいの違いが感じられて、適当にオーダーした割には流れとして丁度良かったかもしれません。

 

そして読めなかったLimousin Oakというのは、リムーザンオーク樽と呼ばれるもので、主にコニャックの貯蔵に使われるらしいです。ウイスキー以外でも周辺のお酒も飲んだり調べておかないとダメですね。

 

このボトルはそのリムーザンオーク樽フィニッシュではなく、まるまる5年半貯蔵。かつノンチルフィルター(冷却ろ過せず)、ノンカラー(着色せず)なので、色は薄めでも白ブドウ感をしっかりと味わえたようです。かつあかしの独特の荒っぽさをうまくカバーし、いい持ち味にしているなと思いました。

 

酒販店のモルトヤマさんのブログでは「コニャックカスクフィニッシュは、秩父でもありましたが、コニャックカスクでまるまる熟成させたものは、なかなか珍しい」と書いてありました。なるほど、そうだったんですね。これはいい経験をさせてもらいました。

※この投稿を書き終わってから気がついたのですが「Pen」2017年11月15日号のウイスキー最新案内特集に取り上げられていますね。「フレーバーはエレガントで化粧品のよう」と紹介されていました。「エレガント」! カッコイイ言葉なので、覚えておいて今度使ってみたいと思います(笑)
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