前回書きましたウイスキーワニダでの2杯目はキリンのシングルモルトの富士でした。このキリンの富士シリーズはぱっと見がシングルグレーンもシングルブレンデッドも似ているので、照明が暗めのバーでは見分けがつきません。
そういう時にマスターにボトルの有無を聞いて無い場合、別のボトルを頼むのもなんとなく気まずいのでそもそも確認しないのですが、ウイスキーワニダは店内が明るく、かつ目の前にボトルがあるので、シングルモルトだとすぐに分かりました。
お店に訪問したは今年の6月中旬。シングルモルト富士が発売して1ヶ月後くらいだったのでまだ飲めていなく、喜びいさんで頼みました。
KIRIN SINGLE MALT JAPANESE WHISKY FUJI
製造者:キリンディスティラリー株式会社
原材料:モルト
仕様:700ml 46%
価格:6,600円(税込)
発売:2023年5月16日
飲んだ日:2023年6月18日
タイミング:ボトル肩口
香り:まず塩気、少し時間が経つと、濃厚な甘味とフルーティーさが中心に。加水すると蜜柑。
味:バニラ、バター、ねっとりした甘み、塩気。時間が経つとリンゴ感全開。とてもバランスの取れた味わい。加水するとバニラ中心。
美味しいですね。オイリーでねっとりとしたバニラに、フルーティーな風味が加わっていく富士御殿場蒸溜所のモルトらしい味わいでした。
キリンの富士ブランドのホームページはかなり充実してきていまして、このシングルモルト富士のページにはブレンダーチームからシングルモルト富士開発の具体的なコメントが載っていました。
それによると2つのモルト原酒を使用していて、1つは創業時からこだわり続けてきた「クリーン&エステリー」スタイルの軽やかで華やかなもの、もう1つ仕込・発酵を進化させた製法でつくるフルーティでクリーミーな味わいのものでした。
今回は「2010年代に開発した新タイプのモルト原酒が熟成を経て狙い通りフルーティさ溢れる香味になったことから、満を持して使用することにし」たそうです。こういう話をきくとウイスキーの製造って時間がかかる壮大なものだなとあらためて思います。
樽はアメリカンホワイトオークのバーボンバレルが主体で、ビール熟成樽やフレンチオークのワイン熟成樽も使用したので、バーボンバレル熟成による甘く華やかな香味に加えてビール樽熟成によるフローラルさ、ワイン樽熟成による果実味など深みが加わっているとのこと。このあたりはエバモア2000の原酒を飲んだ時に体感しましたが、ブレンドの妙味ですね。
ちなみに公式テイスティングコメントは
【トップノート】
完熟りんご、パイナップル、柑橘ピールの華やかでフルーティな香りとクレームブリュレ、ハチミツの甘い香りやダージリンティーのようなフローラルな香り。
【パレート】
とろりとしたやわらかい口当たり、果実味あふれる味わい、熟した白桃、洋梨、アンズのような濃厚な果実の香りとフルーツタルトを想わせる芳醇な風味が口中に広がる。
【フィニッシュ】
甘く複雑で熟成感あふれる香味が心地良く長く続く。
香りは最初強烈な塩気があったと思ったのですが、上記コメントにはありませんでした。う~ん、いったい何の香りを嗅ぎ取ったのでしょうか(汗)
公式ホームページにはさらにストレートからスプーン1~3杯の水を徐々に加えて、香りの変化を愉しむというおすすめの飲み方も載っています。
ストレート (46%)…クレームブリュレ、バニラ、カスタード、キャラメル、熟した果実
スプーン1杯 (40%)…フルーツタルト、完熟りんご、熟した洋梨、白桃、ハチミツ
スプーン2杯 (35%)…フルーツケーキ、柑橘、パイナップル、洋梨、白桃、紅茶、シロップ
スプーン3杯 (30%)…フルーツフレーバーティ、柑橘、パイナップル、洋梨、白桃、りんご、紅茶、ミント
※( )内は想定アルコール度数
とのことで、コメントを読んでいるだけで飲みたくなってきます。これはボトルを買って飲みたくなるタイプですね。
富士御殿場蒸溜所は2021年に立ち上げた木桶発酵槽・小型ポットスチルで仕込んだモルト原酒の熟成が進んでいるそうで、間もなく富士のブレンド原酒に加わる予定だそうです。これからさらに新しい味わいのウイスキー富士が登場しそうで楽しみです。
最後にウイスキーワニダのマスター、いいウイスキーを安く飲ませていただいてありがとうございました。あれから忙しかったり、体調を崩したりで伺えてませんが、また伺いますのでよろしくお願いします。