ジャパニーズウイスキー探求日記

ジャパニーズウイスキーにいつしか魅せられて、どんどん新しいウイスキーを飲みたくなり、知りたくなってしまいました。ここでは飲んだウイスキー、読んだ本、行った蒸溜所の記録などを気ままに綴っていきたいと思います。

2019年10月

マルスウイスキーは定番商品以外に限定版を結構出しているので、どんなボトルが出ているのか実は自分はそんなに知っていません。そんな自分でもパピヨンシリーズについてはヤフオクでボトルが高騰しているのと、美味しいらしいという声を聞いていて知っていました。今回縁があって7本出ているうちの1本を飲むことができましたので、こちらに記させていただきます。

そもそもなんで「パピヨン」という名前がついているのかも知らなかったのですが、公式サイトには「ウイスキー熟成に関わる自然環境を日本の蝶をモチーフに表現しています」とのことでした。この「ミヤマシロチョウ」はパピヨンシリーズの第3弾で「中部山岳地帯の一部に生息する「ミヤマシロチョウ」がテーマ。白く美しい翅(はね)を持ち「深山の妖精」とも言われる可憐な姿をイメージして、アメリカンホワイトオーク新樽で熟成したノンピートの原酒を一樽厳選し」たとのことです。「樽出しの風味にこだわり、ナチュラルカスクストレングス、ノンチルフィルターで瓶詰め」しているそうで、バーのマスターも樽にこだわったシリーズだと教えてくれました。

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本坊酒造 マルスモルト ル・パピヨン シングルカスクミヤマシロチョウ

MARSMALT LePapillon A. hippia Japonica Single Cask Japanese Whisky


製造者:本坊酒造株式会社MW

原材料:モルト

仕様:700ml 60

希望小売価格:9,900

発売:2018314

限定:585

蒸溜:20141

樽種:アメリカンホワイトオーク

樽番号:1,860

瓶詰:201711

 

飲んだ日:20191019

タイミング:ボトル1/4くらい


香り:洋梨、マスカット、バニラ、とてもふくよかで爽やかなフルーツ感。加水すると爽やか香草感が強くなる。

味:とてもまろやかなバニラ、チリチリ感ののち洋梨的な酸味、香草系の香ばしさ。パワーがあるのにとてもまろやかで優雅。加水するとこってり感が強調されエッジも強くなり香草感が強くなる。

 

いいウイスキーはアルコール度数が高くても、なぜかまろやかで、すっと口に入ってくるものですが、このボトルもまさにその1本でした。熟成年数も3年と10カ月くらいですが、荒々しさといった印象はなく、満ち足りた気分にさせてくれます。いつか信州蒸溜所(あ、津貫もですね)に行って、実際に製造現場を見て、現地で飲んでみたいです。
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8月に投稿した富士御殿場蒸溜所ディスティラリーズ セレクトのグレーンウイスキー版です。富士御殿場蒸溜所の投稿にも書きましたが、この蒸溜所はモルトウイスキーの製造をしているのは当然なのですが、実は力が入っているのはグレーンウイスキーのようでした。それぞれ特徴が違う3つの連続式蒸溜機があり、ウイスキーの味わいに合わせて使い分けていました。3種類のグレーンウイスキーのテイスティングをしましたが、確かに味がぜんぜん違っていましたし、かなり力の入った説明だったので、もともとグレーンウイスキーには興味が無かった自分ですが、小さめのボトルで購入してみました。

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キリン 富士御殿場蒸溜所 ディスティラリーズ セレクトシングルグレーン リッチ 2016

LIMITED 2016DISTILLER’S SELECT SINGLE GRAIN RICH WHISKY

製造者:キリンディスティラリー株式会社

原材料:グレーン・モルト

仕様:200ml 48

価格:2,000円(税別)

発売:2016715

蒸溜所のみでの発売、限定2,500

 

飲んだ日:201994

タイミング:口開け


香り:うっすらオレンジ、爽やかさ、アルコール感、スワリングすると甘さと木っぽさが立ってくるが、鼻が悪いせいかあまり香りを感じない。

味:若い杏、オレンジ、穀物っぽい甘さ、アルコールっぽさとそれによる爽やかさ、辛さ、グレーンらしい角がある感とともに不思議なまろやかさがある。決して熟成感のある味わいではないが、若さが溢れているわけでもない不思議な味わい。これはこれで美味しい。時間が経つとボンタンアメ。

 

グレーンウイスキーは長熟を含めていくつか飲みましたが、今ひとつピンとくるものが感じられず興味の対象外でした。しかし、途中でミルキーさが出てきたり、意外な楽しみもあり、このボトルを飲んでみて、グレーンウイスキーのNAとしては味わい深いものがあるなと思いました。富士御殿場蒸溜所で飲んだ25年熟成のグレーンウイスキーの良いイメージもあり、キリンのグレーンウイスキーには共感を覚えました。現地に行かなければ分からなかった魅力が知れたということで、やっぱり蒸溜所巡りはいいですね。
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「竹鶴」NA17年とくれば次は21年でしょう。購入するにしても、バーで飲むにしても、ここまでがギリギリ飲める金額と心のハードルだと思います。とは言っても気軽には買えませんが…。バーですと既に置いてあるお店がかなり減ってしまいましたが、置いてあるところは通常価格で入ってくるので、目の玉が飛び出るほどの金額にはなっていないようです。ちなみに21年も数々の受賞歴があります。ISC ダブルゴールド受賞(2019年) 金賞受賞(2006年、2008年、2009年、2010年、2011年、2014年、2015年、2018年)銀賞受賞(2013年) 世界最高賞「トロフィー」受賞(2009年)、WWAワールド・ベスト・ブレンデッドモルト(ピュアモルト)受賞(2007年、2009年、2010年)。さて、こちらも17年から味がどう違うのか気になるところです。

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ニッカ 竹鶴21年 ピュアモルト

NIKKA WHISKY TAKETSURU WHISKY 21 YEARS OLD PURE MALT

 

製造者:ニッカウヰスキー株式会社6

原材料:モルト

仕様:700ml 43

税抜価格:15,000

発売:2001322日(現在のラベルは201196日~2020年3月末日終売)

 

飲んだ日:2019103

タイミング:ボトル2/3くらい


香り:柔らかな黒糖、花、熟成されたリンゴ、上品かつ軽やか。

味:まろやかな麦から入り、そこそこ熟したリンゴなのに軽やか、杏、黒糖、ピート感、程よい苦み、時間が経つとチョコレート感、とても上品な味わい、悪酔いするイメージゼロ。

 

17年と比べるとよりフルーティーかつ複雑、そして軽やかといった感じでしょうか。テイスティングコメントの最後に悪酔いするイメージゼロと記しましたが、何杯でも飲めてしまいそうで逆に危ないかもしれません(笑)。美味い酒とはそういうことなんでしょう。いつか25年、35年が飲めるといいなあと夢想しています…と思ったら昔、京都の四条大宮にあるバーで25年を安―く飲ませてもらったことを思い出しました。えらい美味しかったのは当然印象に残っているのですが、具体的な味のイメージがまったく欠落しています。この頃からちゃんと写真に撮って、コメントを書いておくんだtったなと少し後悔しています。
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前回は「竹鶴」NAでしたが、次に熟成年数の長いものとなると一気に17年になってしまいます。間に12年が挟まっていましたが、20144月に休売。しかし、竹鶴17年のすごいところは直近の値上がり後にも関わらず定価はなんと税抜7,000円! 17年熟成で7,000円ってどうしてそういう値段設定ができてしまうのか、不思議なところです。さらに安価でも美味しい。その証拠として国際的な品評会でずらりと受賞歴があります。ISC 銀賞受賞(2007年、2009年、2011年、2012年、2013年)同ゴールド受賞(2019年)WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)ワールド・ベスト・ブレンデッドモルト(ピュアモルト)受賞(2014年、2015年、2018年)。さて、こちらはNAと味がどう違うのか気になるところです。

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ニッカ 竹鶴17年 ピュアモルト

NIKKA WHISKY TAKETSURU WHISKY 17 YEARS OLD PURE MALT

 

製造者:ニッカウヰスキー株式会社6

原材料:モルト

仕様:700ml 43

税抜価格:7,000

発売:2001321日(現在のラベルは2011年9月6日~2020年3月末日終売)

 

飲んだ日:2019108

タイミング:ボトル2/3くらい


香り:杏、チョコレート、枯れた藁。

味:ミルクチョコ、杏、ピート感、仁丹、程よい苦み、そして程よいこってり感とサラサラ感が混在。穏やかで優しい味。

 

NAと比べるとフルーティーさがはっきりと出ているのと、味の深みみたいなものがしっかりと味わえたと思います。飲みやすさはこちらも抜群に良く、それなのに「余市」のようなウイスキーのクセ的なものがしっかりと味わえるのが素晴らしいと思います。もうちょっと早く「竹鶴」の美味しさに気づいて、12年もちゃんと味わっておくべきでした。ちょっぴり後悔です。

とここまで書いておいて、気になってネットショップで「竹鶴」17年の価格を見てみたところ、7,000円+税ではとてもじゃないけど買えませんね。2倍どころか3倍近い価格とは…。前にも書きましたが酒販店が定価を上げていくというのはどうなんだろうと疑問に思います。バーには定価で卸しているのに一般の人には倍以上の値段で売るって、今はいいかもしれないけど将来しっぺ返しがくるような気がしてなりません。メーカーもショップも何かいい方法を考えてもらえませんかねえ。
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ニッカの創業者の名前を冠しているのにも関わらず、安価で流通している「竹鶴」。そんなすごいウイスキーなのに、蒸溜所のはっきりしているシングルモルトを重点的飲んできたこともあって、「竹鶴」はほぼ飲んでいないに近い状態でした。

あらためてニッカのサイトで調べてみると「竹鶴」の「開発テーマは、モルトウイスキーでありながら、ブレンデッドウイスキーに匹敵するやわらかさをもつウイスキー」ということらしいです。

1997年くらいから開発が検討されていたようですが、この当時は「一般的に、ピュアモルトは個性があって重厚、ブレンデッドはライトな味わいというのが開発当時の常識」で、「ブレンダーは、この難題に挑戦し、一見相反する魅力を両立させ、さらに、あえてエイジングごとに「個性のつくり分け」を目指し」たとのことでした。初めて「竹鶴」ブランドで発売されたのは200011月で、この時は商品ラインナップは12年熟成だけでした。このNA2013年に「原酒の貯蔵年数にこだわらず、ニッカウヰスキーが保有する、数多くのモルト原酒の中から、『竹鶴』ブランドの香味特長を保ちながら、華やかでバランスのとれた味わいに仕上げた」とのことです。

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ニッカ 竹鶴 ピュアモルト

NIKKA WHISKY TAKETSURU WHISKY PURE MALT



製造者:ニッカウヰスキー株式会社6

原材料:モルト

仕様:700ml 43

税抜価格:3,000

発売:2013925日、2020年3月31日新しいボトルにリニューアル

 

飲んだ日:20191019

タイミング:ラベルのCの下あたり


香り:バニラ、チョコレート、ブドウ。

味:ビターチョコレート、ピート感、クローブ、その後にミルキー、さらりとしている。NAなのに若さの主張はあまり感じられず、落ち着いて上品。加水するとブドウ感と辛みが出てくる。

 

率直に美味しいです。開発テーマにあった飲みやすさというのも完璧にクリアしていると思います。でありながら「宮城峡」、「余市」といったニッカウイスキーの魅力をきちんと伝えるピュアモルトウイスキーだなと思いました。この品質で税抜3,000円というのも素晴らしいですね。しかし残念ながら市場への供給が追い付いていないみたいで、やはり店頭で見かけることは少ないです。またネットショップで見ても定価で売られているお店はありませんでした。日本のウイスキー飲みにとっては厳しい時代ですね。
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