ジャパニーズウイスキー探求日記

ジャパニーズウイスキーにいつしか魅せられて、どんどん新しいウイスキーを飲みたくなり、知りたくなってしまいました。ここでは飲んだウイスキー、読んだ本、行った蒸溜所の記録などを気ままに綴っていきたいと思います。

2019年06月

2017114日に安積蒸溜所へ見学に行きました。その折に試飲させていただき購入しました。丁度出荷直前だったようで、ラベルの貼ってないものを試飲させていただき、その味に感動して購入。見学時にご説明いただいた山口社長にその場でラベルを貼っていただくという歴史的ボトルになりました。

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笹の川酒造 安積蒸溜所 NEW POT PEATED

SASANOKAWASHUZO ASAKA DISTILLERY NEW POT PEATED

 

製造者:笹の川酒造株式会社

原材料:モルト

仕様:250ml 63.4

本体価格:2,200

発売:201711月頃

Massing2017.7.11
Distilled 2017.7.16
Bottled 2017.7.28
phenol 50ppm
Single Malt
Peated
Bottling No. 233/1,091

 

飲んだ日:2018126

タイミング:口開け


香り:麦の甘さ、ヨードのような酸味、生っぽい何か。
味:麦の甘さ、ヨード、スモーキー、ピーティー、一つひとつは直球の味だが
出汁のような複雑さを感じる。美味しい味わいとともに、熟成した時の期待感が高まります。

 

ニューポットなのにも関わらず、複雑で出汁感まであるのは驚きでした。個人的な好みとしてノンピートと比べると美味しさが一層増しました。しかし、こちらのボトルもなるべく早めに飲むのがいいと思います。時間をかけてもせいぜい半年くらいにしておく方が無難だと思いました。
このピーテッドタイプが3年熟成になるのは2020年つまり来年の夏以降になります。飲まなきゃいけないボトルは結構たまっているのですが、今から待ち遠しいですね。
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郡山モルトに関わるものを探していたところ、安積蒸溜所がついに稼働し始めたという噂が聞こえてきました。すると会社近くの八重洲地下街のハセガワリカーに「NEW POT」が置いてあるではありませんか。いてもたってもいられず、残業の合間に事務所を抜けだして、急いで買いにいきました。

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笹の川酒造 安積蒸溜所 NEW POT

SASANOKAWASHUZO ASAKA DISTILLERY NEW POT

 

製造者:笹の川酒造株式会社

原材料:モルト

仕様:250ml 63

本体価格:1,800

発売:20171月頃~? 

Distilled2017.01.30
Bottled 2017.02.7
Single Malt
Bottling No. 517/1003

会津若松の植木屋商店のオンラインショップで2017127日付でリリースされたものが、一番早くネット上で見かけたものでした。こちらは蒸溜日が20161226日、ボトリングは2017113日に行われたものでした。その前に蒸溜所で売られていた可能性はありますが…。

 

飲んだ日:2017111

タイミング:口開け


香り:粉っぽい甘い麦、わずかな酸味。
味:麦の甘さから入りオレンジのような酸味、塩、クローブ、香草。63度なので荒々しさもあるけど意外と落ち着いていて美味しい。熟成させたら将来いいウイスキーになることを予感させる。

 

ニューポットなのに意外と麦の甘さとフルーティーさがあって、十分に美味しくいただきました。今までに飲んだことのある他のウイスキーのニューポットと比べると、すでにベースの味がしっかりしているのが印象的でした。チェリーウイスキーのどっしりさと相通ずるところもあり、これからどのように進化していくのか本当に楽しみです。ニューポット全般に言えることですが、口開けしたら早めに飲んだ方が美味しさを味わえると思います。
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本来の郡山モルトを求めるとやはりチェリーウイスキーのピュアモルト「チェリーXXV」にいきつくようです。ただし、こちらも『痛快!地ウイスキー宣言』(穂積忠彦・編著)によると当時からスコッチウイスキーを樽ごと輸入して、そのウイスキー自体を一部使用していたようです。自家製モルトと一緒にして撹拌したところ、味が安定して美味しかったそうです。このボトルは特級表記がないので、19894月以降のものですが、2014年の終売まで期間も長く、郡山モルトがどれくらい入っているのか分からないところもありますが、ボトルには「ONLY LOCAL MALT IN TOHOKU AREA」の表記があります。意を決し、ヤフオクで落札・購入し、飲んでみました。

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笹の川酒造 ピュアモルトウイスキー チェリーXXV

SASANOKAWASHUZO PURE MALT WHISKY Cherry XXV

 

製造者:笹の川酒造株式会社

原材料:麦芽

仕様:720ml 43

価格:3,730円(1983年頃)

発売:1982

1957年に郡山市中心部から現在地に移転してきて25周年を記念して発売。5年以上熟成したモルトを100%使用。クリスタルのカットガラス瓶を用いた「クリスタル」(当時の価格6,400円)も同じウイスキーが使われている。2014年終売。

 

飲んだ日:20171029

タイミング:口開け


香り:甘酸っぱい杏、プラム、名前の通りチェリー?
味:香ばしい麦の甘さ、杏のような酸味、ハーブ感、アルコール由来のスパイシーさ、若くてそこそこ力強いけど時間が経って角がとれたようなまろやかさ。わりと濃厚で美味しいです。甘いお菓子と一緒に飲みたい。

 

このボトルは1本まるまる飲みましたが、酒質がどっしりしているせいか、比較的変化がすくない部類でした。そしてその味わいの核となる濃厚な杏とチェリー感はブレンデッドのチェリーウイスキーと同じニュアンスであり、オリジナリティーがあって一貫している味わいだと思いました。笹の川酒造のウイスキーは美味しいなとあらためて実感しました。

最後にチェリーXXVの価格ですが、当時ピュアモルトウイスキーで3730円というのは、なかなかのお値打ち価格だったと思います。同時期のピュアモルトウイスキーは少なく、東亜酒造の「ゴールデンホース100」が5,800円、三楽オーシャンの「ストレート・モルト・ウイスキー・オーシャン・軽井沢」が15,000円!が存在していただけでした。同価格帯だと「スーパーニッカ」「サントリーリザーブ」が3,200円でした。ただ追って江井ヶ嶋酒造の「ホワイトオーク・スペシャルリザーブ」が3,150円で売り出されました。こちらは自家蒸溜で8年熟成されたピュアモルトだけを製品化したもののようです(「世界の名酒事典’82-‘83年版、’84-85年版」より)
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日本で造られたウイスキーを、その地元で地のものと合わせて飲みたい! という欲求のために山桜15年カスクストレングスに狙いを定めました。もう既に通常販売は終了していましたので、ヤフオク頼みです。このシリーズは加水タイプの15年とシェリーカスクの15年があり、いずれも高評価でしたが、シェリーカスクは高すぎて手が出ませんでした。どうせなら加水よりカスクタイプの方がそのものの味でいいだろうという短絡的判断でしたが、調べると加水タイプはかなり美味しいらしく、逆にカスクタイプは評価自体が少なく、不安を抱えながらも意を決して落札しました。

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笹の川酒造 ピュアモルトウイスキー 山桜15年 カスクストレングス ノンチルフィルタード ナチュラルカラー

Sasa-no-kawashuzo AGED 15 YEARS PURE MALT WHISKY YAMAZAKURA CASK STRENGTH NONCHILL-FILTERED NATURAL COLOR

 

製造者:笹の川酒造株式会社

原材料:モルト

仕様:550ml 59

価格:不明 201617くらいにヤフオクで落札価格は15,000円程度。

発売:201567月頃? ネット上では7/6にバーに入荷したブログが最も早く記された情報でした。

 

飲んだ日:2018224

タイミング:ボトル下から3センチくらい


香り:香ばしいチョコレート。
味:チョコレートから入り杏、ミカン、ピリピリ感のちハーブ、塩辛さ、ポンカン飴。パワーはあるけど、チェリーXXVのように図太さはなく、繊細。ほんの少し加水すると、ミルクチョコレート感が強まると同時にエッジの効いた味わいへと変化。これも美味しいです。

 

ボトルを空けてから前半はチョコレート感強めでしたが、後半あたりから杏やミカンのようなフルーツ感がにじみだしてきて美味しさが塗り替えられていきました。開くのに時間がかかるタイプだったかもしれません。

さて、このボトル「熟成期間は貯蔵初期に樽で15年、後に樽で貯蔵し、合計20年以上経過しているものを使用してい」ると記されていますが、よくよく考えてみると郡山で蒸溜したという表記はありません。2018年に出版された『ウイスキー・ライジング』ではそのほとんどがスコッチウイスキーでごく少量の国産モルトが含まれていたと記され、笹の川酒造で造られたモルトのようには書かれていません。著者は羽生蒸溜所の原酒を疑っているようでしたが、メーカーからは否定されたそうです。後に安積蒸溜所を訪れた時に、山口社長からスコッチウイスキーが入っていることをお聞きしましたが、自社モルトについては否定されていなかったように思えたのですが、自分も思い込みで話をしていた気がするので真実は分かりません。またどこかで、お話を伺えればなあと思う次第です。
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笹の川酒造は「チェリーウイスキー」という銘柄を造っているというのはマンガ『BAR レモン・ハート』で知ってはいました。ただ自分たちで蒸溜をしていたけど、途中で止めてしまったということは近年になってから知りました。なんでもっと早く知っておかなかったんだろうと悔やみましたが、仕方ありません。ヤフオクで自家モルトを使用したと予想されるボトルを探るしかないとコツコツ調べ始めた時、20163月から新しい蒸溜機を設置し生産を始めたとの情報を聞きました。悲しんだり、喜んだり気持を揺さぶられまくっていますが、飲んだ笹の川酒造製造のウイスキーをこれから記していきたいと思います。

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笹の川酒造 ブレンデッドウイスキー 山桜 黒ラベル

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製造者:笹の川酒造株式会社

原材料:モルト、グレーン

仕様:700ml 40

価格:2,160円(税込)

発売:201565
正確な時期はわからないのですが、笹の川酒造のホームページによると最近ラベルデザインをリニューアルしたようです。

 

飲んだ日:2018129

タイミング:ボトル下から3センチくらい

 

香り:潮の香り、青リンゴ。
味:塩味を含んだ麦汁から始まりハーブ、ヨード、バニラ、リンゴなどが渾然一体。ブレンデッドのためか力強さはないが、かなり楽しめる。

 

このボトルの裏に公式のコメントとして「マイルドで口当たりのよいタイプに仕上げました」とありますが、口開けした頃はまさにそんな感じでした。ただ口当たりがよいというより、ぼんやりしている感でもありました。面白いのが時が経つにつれて味がドライになってくると、各々の味が際立ちボトル下から3センチくらいのところから最後の一杯までは同じボトルか!というくらい香りも味も開花しました。上記のテイスティングコメントはそのあたりのものとなっています。

「山桜 黒ラベル」のモルトは残念ながら自家製モルトではなく、輸入原酒を使用しているようですが、きちんと自分たちで熟成させ、丁寧に造っている味わいがあるのがいいですね。
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