6月に緊急事態宣言も開けて、まん防中ではありますが、ようやくバーでウイスキーが飲める! と喜んでいました。しかし、本日より緊急事態宣言が再発動となりました。儚い束の間のひと時でした…。
少なくともまん防は続いていくかなとも思っていたので、飲む機会はかなり限られるだろうと予測し、禁断の(?)ミニボトルの口開けを開始しました。それでも8月23日分までネタが足りないと思われます。う~ん、どうしよう。とにかく早くコロナ禍が収束してくれることを願うばかりです。
サントリー ブレンデッドウイスキー カスタム
SUNTORY BLENDED WHISKY CUSTOM
製造者:サントリー株式会社E
原材料:不明
仕様:50ml 42%
希望小売価格:不明 初代ボトルは発売時1,100円
発売:1967年9月このボトルは2代目で堂島浜通表記でおそらく1971年流通ボトル
飲んだ日:2021年6月18日
タイミング:口開け
香り:粉っぽい麦の甘さ、のち赤リンゴ、ほのかにヨード、木の皮、ピート加水すると青リンゴと木の樽感が強まる。
味:水飴、麦芽、木の樽、ピート感からキックのちドライで辛めの後口、僅かに洋梨感。加水すると全体的に薄まって甘さとドライさが強まる。
この時は、水割りで飲むのに丁度いい昔のウイスキー程度の印象でした。しかし、翌日に残りのハーフくらいを飲んでみると味わいが一変しました。
香りは木の樽、洋梨、少し南国フルーツ感。味はバニラ、バナナ、木の樽、ピート感のち辛めの後口。口中は滑らかで幸せ感があります。1日置いてちょっと進化した感じで、いっぺんに飲んでしまわなくて良かったなあという感じでした。古いジャパニーズウイスキーはこういうことがあるので、あなどれません。
さて、このサントリーセレクトについて調べてみたのですが、1クセも2クセもありそうです。飲む背景のストーリーとして面白いボトルかもしれません。
発売されたのは『ウイスキー戦争』によると1967年2月のこと。サントリーゴールド1級(1,000円)の上級バージョン(1,100円)とされ、広告では贈り物用の「高級ソフトウイスキー」という打ち出し方になっていました。
これにニッカが1968年6月にホワイトニッカで追随し、さらにその後三楽オーシャンがブライトで参戦したことから第三次ウイスキー戦争が勃発したのです。
そして、このカスタムというウイスキーは大きく分けて2種類ボトルがあり、初代は茶色の円筒形の瓶に黒いラベルを巻いていました。こちらはネックに中之島表記があるので概ね60年代流通ボトルと言っていいのではと思います。
ちなみに初代ボトルについてインスタで1967年から1年間だけ製造していたかのような投稿がありました。しかし1969年10月10日発行のサントリー広報誌『洋酒とカクテル』に初代ボトルが写真、および製品標準価格一覧に商品名が掲載されていることから、少なくとも60年代いっぱいは流通していたのではと思われます。
そして2代目がこのボトルです。正確なことは分からないのですが、初代はざっとボトルの写真を確認すると中之島表記しかなく、2代目のボトルの表記は堂島浜通ばかりでした。
帯広のバーJapaneseWhiskyBAR fishborn様のブログにはサントリーに確認したら1971年終売と言われたそうです。1971年終売だとすると、堂島浜通表記しかないのもうなずけます。
堂島浜通2丁目にサントリーの本社が移転したのは1971年4月です。そうすると1年間だけ製造されたのは初代ではなく、2代目ボトルの可能性が出てきました。辻褄が合うのではないでしょうか。そういえば1982年刊の『日本産ウイスキー読本』にはカスタムは掲載されていません。
ただ本社移転時にきっかりとボトルが変わったのかどうかは、もう少し調べる必要がありそうです。また、katotomo様のブログ「malt - resort – country」で原材料の表記が無いので、気になってサントリーに問い合わせてみたところ「モルトとグレーンのみでスピリッツ等は入っていないブレンデッド」という回答があったようです。
しかし、この時代は知多、白州蒸溜所とも稼働しておらず、味わいのことやグレーンウイスキー使用だとすると、輸入ウイスキーを使用している可能性もあります。味わいも山崎のモルトとはニュアンスが違う気がします。
なお、1989年にカスタムはニュースピリッツとして復活しています。こちらも飲みやすさ(と安さ)を追求した商品ですが、まったく別物のようです。サントリーカスタム、発売から4年後に消えた(?)意外と謎の残るボトルでした。